英語を勉強している時、洋書を読むことを勧められたことはありませんか?あるいは、学校の先生が多読を推奨していたり、憧れている人が洋書を読んで勉強しているとか。しかし、洋書に興味があるものの、どのタイミングで洋書に取りかかるべきなのか、判断が難しいものです。

取りかかるタイミングに
正解はない!

ずばり、どんな英語レベルでも洋書を読むことができます。洋書を読み始めるのに「正解」のタイミングはありません。
ただし「読める」といったものの、自分に合ったレベルでないと難しいです。背伸びをして、語彙数の多い本や難しい内容の本を読む必要はありません。自分よりも高いレベルの本に手を出すと「楽しさ」よりも「大変」だと感じます。

中には「洋書とはいえ絵本を読むのはちょっと・・・」「子供が読む本を大人が読むのは恥ずかしい」という思いがあるかもしれません。しかし、人目を気にせず自分にあった本を読みましょう。

本を読むのは他人のためでもオシャレのためでもありません、自分のためです。読みたいと思える本に出会えることの方が、人目よりも大切です!

また、自分に合った洋書を探す条件として「読んでいて楽しいと思える本」「自分に合ったレベルの本」「最後まで読み切れる本」という3点を気にしてみると良いかもしれません。
今回は英検(実用英語技能検定)やTOEICのスコアを大まかな目安に、洋書の難易度を7つに分けました。

※注意
英検とTOEICのスコアはあくまで目安です。洋書の難易度と完全に一致するわけではありませんが、これらを参考に適切な洋書を選んでいただけたら幸いです

レベル1
超初心者向き
(TOEIC 100点未満、英検5級)

本の特徴
短文、簡単な語彙、リズムと韻を踏んだテキスト、挿絵が豊富
目安
TOEIC 100点未満、英検5級

おすすめの洋書3選

「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」
(くまさん、くまさん、なにみてるの?)
Bill Martin Jr. and Eric Carle

おすすめポイント

  • 語数 約200語
  • 文章のリズムがいい
  • エリック・カールによる色彩豊かでキレイな挿絵
  • 単語のニュアンスの違いを学べる
    例.「see」「look」の「見る」の違い

「Goodnight Moon」
(おやすみなさいおつきさま)
Margaret Wise Brown

おすすめポイント

  • 語数 約130語
  • 読みやすいシンプルな文章
  • 温かみのあるイラストで就寝前におすすめ
  • ミシェル・オバマやニール・ゲイマン(『グッド・オーメンズ』の原作者)のおすすめの一冊

「The Very Hungry Caterpillar」
(はらぺこあおむし)
Eric Carle

おすすめポイント

  • 語数 約220語
  • 世界的に有名なエリック・カールの仕掛け絵本
  • 食べ物や数字、色や曜日などを学べる
  • 個性的な一冊なのでプレゼントにもおすすめ

レベル2
ちょっと初心者向け
(TOEIC 100-140点、英検4級)

本の特徴
簡単な物語、基本的な文法、繰り返しのパターン、シンプルなストーリーライン
目安
TOEIC 100-140点、英検4級

おすすめの洋書2選

「I Can Read」シリーズ(レベル1)
例. Biscuit and Friends
Capucilli, Alyssa Satin/ Schories, Pat

おすすめポイント

  • 約1,600語 全32ページ
  • 「I Can Read」シリーズは6レベルに分かれている
  • 自分の英語力に合わせてステップアップできる
  • シリーズ作品が多いので、お気に入りをみつけやすい

「Elephant and Piggie」シリーズ
例.We Are in a Book!
Mo Willems

おすすめポイント

  • 約1,000語
  • 対話形式の短い文章で読みやすい
  • 特に「We Are in a Book!」はユーモアなストーリーで、子供も大人も笑えて楽しめる一冊
  • 作者は「セサミストリート」を手掛けていたMo Willems(モー・ウィレムス)

レベル3
初級者向け
(TOEIC 200-400点、英検3級)

本の特徴
短い文章で読み切りやすい
辞書を引く必要のない簡単な語彙
目安
TOEIC 200-400点、英検3級

おすすめの洋書2選

「The Cat in the Hat」
(帽子をかぶったネコ)
Dr. Seuss

おすすめポイント

  • 約1,600語
  • 1957年に初版が出版されたアメリカの古典的な絵本
  • 特に発音、英語の韻とリズムを学べる
  • 作者のドクター・スースは「現代のマザーグース」とも呼ばれている

「Frog and Toad Are Friends」
(ふたりはともだち)
Arnold Lobel

おすすめポイント

  • 約2,500語
  • 全体的に短文で構成されている
  • 「親友」とは何か、友情関係の危うさと美しさを教えてくれる一冊
  • 英文法よりも日常会話を学ぶのに最適

レベル4
初中級者向け
(TOEIC 400-600点、英検準2級)

本の特徴
語彙数が多くなる
簡単な文章で構成されているが、時々複雑な文章が出てくる
基本的な読解力を身に付けるのにオススメ
目安
TOEIC 400-600点、英検準2級

おすすめの洋書2選

「Charlotte’s Web」
(シャーロットのおくりもの)
E.B. White

おすすめポイント

  • 約31,000語
  • 英文はシンプルだけど文学として素晴らしいため、ライティングの勉強になる
  • 英語中級レベルの人は、辞書をほぼ使わなくても読めるレベル
  • 児童書のなかで最高の1冊と言われる名作
  • 世界的書籍口コミサイト「Goodreads」で「死ぬまでに読みたい100冊の本」にも選ばれている

「Charlie and the Chocolate Factory」
(チャーリーとチョコレート工場)
Roald Dahl

おすすめポイント

  • 約30,000語
  • 映画化したことでも有名な作品
  • ユーモアたっぷりなストーリー
  • 洋書のなかでも、比較的読みやすという意見が多い
  • 読み終わったらチョコレートが食べたくなるの間違いなし!

レベル5
中級者向け
TOEIC 600-800点、英検2級

本の特徴
より複雑な文法や語彙が多くなる
ストーリー展開が速くなる
読解力や文脈から単語の意味を推測する力が必要となる
目安
TOEIC 600-800点、英検2級

おすすめの洋書2選

「Harry Potter and the Sorcerer’s Stone」
(ハリー・ポッターと賢者の石)
J.K. Rowling

おすすめポイント

  • 約77,000語
  • 大人も子供も魅了される魔法の世界の物語
  • 語彙数は格段に増え、ファンタジーの語彙も多い
  • 勉強のためというよりも、英語を定着させて自分のものにするための1冊としてオススメ

「The Giver」
(ザ・ギバー)
Lois Lowry

おすすめポイント

  • 約43,000語
  • SFストーリーなので内容が少し難しい
  • ヤングアダルト以上におすすめ
  • すべてがコントロールされたユートピアで唯一、人間の全ての記憶を知る役割「the giver」が「自由」とは「人生」とは「幸せ」について疑問を投げかける物語
  • 洋書というだけでなく考えさせられる物語なので、読書体験のなかでも記憶に残る1冊になる

レベル6
中上級者向け
TOEIC 800-900点、英検準1級

本の特徴
高度な文法、比喩表現や複雑な文構造が含まれる
読解するために、ある程度の文化的背景や社会的背景の知識が必要
細かいキャラクターの心理描写が含まれる
目安
TOEIC 800-900点、英検準1級

おすすめの洋書2選

「To Kill a Mockingbird」
(アラバマ物語)
Harper Lee

おすすめポイント

  • 約100,000語
  • 人種差別を題材とした作品
  • アメリカの高校の教科書に載ることも
  • 時代を越えて響く、力強く、魂が込められた言葉の数々
  • 考えさせられる題材で、社会に対する視野が広がる1冊

「The Great Gatsby」
(グレート・ギャッツビー)
F. Scott Fitzgerald

おすすめポイント

  • 約47,000語
  • アメリカンドリームの華やかさと失意を描いた文学作品
  • 比喩表現が多く使われている
  • アメリカの文豪フィッツ・ジェラルドの代表的な作品でありアメリカ文学史に残る傑作とも言われている

レベル7
上級者向け
(TOEIC 900点以上、英検1級)

本の特徴
極めて高度な文法と専門用語を含む語彙が使われる
哲学や社会など熟考する題材
複雑な人間関係や心理描写が特徴
理解するために文脈や歴史的背景の知識が必要
目安
TOEIC 900点以上、英検1級

おすすめの洋書2選

「1984」
George Orwell

おすすめポイント

  • 約89,000語
  • ディストピア小説で最も有名な作品
  • 全体主義社会の政治的、哲学的問題点を描いている
  • 抽象的な語彙が多い

「Pride and Prejudice」
(高慢と偏見)
Jane Austen

おすすめポイント

  • 約120,000語
  • 19世紀初頭のイギリスの貴族社会の恋愛や社会問題を描いた作品
  • 古典的な文体と豊富な比喩が特徴
  • 純文学のような堅苦しいストーリーではなく、どちらかと言えばヒューマンドラマ
  • 英文表現はとても難解

まとめ

自分の実力を試す方法としても、洋書を読むのは効果的かもしれません。
今回ご紹介した本は、数多の本の中の一部です。また、TOEICや英検のレベルはあくまで目安なので、実際にチャレンジする際は、興味がある本や自分に合っていると感じた本を手に取るのも良いかと思います。
勉強の一環として、趣味の一環として、目的はそれぞれですが楽しく洋書を読み進められることを願っています。