太陽の光がさんさんと降り注ぎ人も料理も鮮やかで豊かな国、100年前と変わらない景観を持つ国、伝統を大切にしつつ革新を試みる国。一言で、ヨーロッパと言っても個性豊かな国ばかり。
そんな国々を旅する中で、生涯住みたいと思う国が見つかるかもしれません。
今回お話しする「ブルーカード」は、EU圏に移住する権利を与えられたビザです。
ここでは、ブルーカードの特徴や取得方法、もし失業した場合、また名前が似ているグリーンカードとの違いについて見ていきます。
1.
「ブルーカード」とは

今回の主役「ブルーカード」とは、EU圏外の高い技術力を持つ労働者がEUで居住することができるビザです。
デンマーク、アイルランド、イギリスを除く28ヵ国で適用されます。
ブルーカードの有効期間は、通常1年から4年で何度でも更新できます。
ワーキングホリデービザ(通称ワーホリビザ)は、一国に対して一生で一回だけ有効でした。同じ就労可能なビザですが、ブルーカードとワーホリビザは大きく異なります。
ブルーカードは、EU圏の各国で発行しています。そのため、申請する際は自身が就労する国で行います。また、他のEU加盟国で働く場合、移住先の国で新たなブルーカードを申請する必要です。
2.
対象者

さて、ブルーカードを得とくするための条件とは一体どのようなものか、気になりますよね。
EUの公式サイトの情報を基にまとめてみたところ、次のように定義されています。
- 「高等専門資格」を持っていること(後ほど詳しく見ていきます)
- 1年間以上の正式な労働契約を結んでいること
- 学歴は大卒以上
- 滞在国の市場内の平均国民給与の少なくとも1.5倍
- 自営業、起業家、フリーランスは対象外
恐らく、気になるのは1つ目の「高等専門資格」だと思います。
「高等専門資格」の定義について、公式サイトでは以下のように述べられています。
(1) 少なくとも 3 年間にわたる研究の高等教育資格の証拠によって証明される資格。これは、中等教育後の高等教育プログラムの修了を証明する、管轄当局が発行する卒業証書、証明書、その他正式な資格の証拠を意味する。これは、その教育機関が所在する国において高等教育機関として承認されている教育施設が提供する一連のコースでなければならない。
外国の教育資格は、通常、当該加盟国によって承認される必要がある。つまり、教育および/または雇用活動へのアクセスを目的として、外国の資格の有効性について管轄当局による正式な承認が必要なのです。(2) 一部の加盟国(DE、EE、EL、ES、FR、LT、LU、MT、PL、PT、SE、SK)は、関連する職業経験を考慮することを認めています。これは、高等教育資格に匹敵するレベルの職業経験を少なくとも5年間有し、労働契約または拘束力のある求人で指定された職業または部門に関連していることが必要である。職業経験とは、当該職業を実際に合法的に遂行したことである。
(原文の英語をDeeplにて和訳)
要約すると、
- 就労先の国で有効な教育機関の卒業証明書
- 一部の国では、大学卒業証明書に匹敵するレベルの5年以上の雇用契約に関連する職業経験
この2点を「高等専門資格」とみなしています。
また、ブルーカードの申請は、加盟国が各国で行っているため、国によって提示されている条件が異なります。就労先の国の条件は、こちらのEU公式サイトで確認することが出来ます。
確認方法
2項目目の「Essential information」の下のマップで就労先の国をクリック(なお、マップ上で青く塗られていない国はブルーカードの対象外です)。
3.
取得方法
あなたまたはあなたの雇用主は、EUブルーカードの申請書を、あなたが働きたい国の管轄当局に提出しなければなりません。その国の規則によっては、申請料を支払う必要がある場合があります。
4.
もし失業した場合

現地で就職し働いていたものの、何らかの事情で失業してしまうこともあるかもしれません。そんな時、雇用を前提で受け取ったEUブルーカードは、無効となってしまうのでしょうか?
もし失業した場合、次の仕事を見つけるまでに3か月の猶予が設けられています。そのため、失業後すぐにカードが無効となることはありません。
しかし、3か月後にまだ失業していた場合、カードは取り消され出国せざるを得なくなる可能性があります。あくまで、ブルーカードは雇用者のためのものということを念頭に置いておきましょう。
5.
グリーンカードとの違い

EUのブルーカードと名前が似ているもので、アメリカの移住権「グリーンカード」があります。
ここでは、ブルーカードとグリーンカードの違いについて見ていきたいと思います。
まず、グリーンカードの特徴を見ていきましょう。グリーンカードとは、アメリカの永住権です。
移住権との大まかな違いは、文字通り「永住」することが可能で出国期日はありません。EUのブルーカードと違い、就労義務はなくアメリカ人と同じように住むことが出来ます。
ちなみに、当初に発行されたカードが緑色だったためグリーンカードと呼ばれるようになり、正式名所は永住権カードです。
ブルーカードとグリーンカードの違いをまとめてみました。
対象国 | ブルーカード | グリーンカード |
---|---|---|
対象国 | EU加盟国 | アメリカ合衆国 |
期限 | 通常1年から4年 | なし |
条件 | 就労すること | なし |
取得方法 | いくつかの条件を満たして申請 | 米国人との結婚 米国企業によるスポンサー 抽選(DVプログラム)で当選する |
名前が似ているものの、カードに与えられている権利は大きく異なります。「ブルーカードは、グリーンカードのヨーロッパ版」と間違わないようにしましょう。
まとめ
EUのブルーカードは、長期間ヨーロッパに滞在できるという利点がある移住権でした。しかし、申請すれば誰でも取得できるというわけではなく、就労義務や専門性など条件は容易なものではないかと思います。
一見、グリーンカードに似ているブルーカードですが、中身は全く異なる移住権ということを覚えておきましょう。